2015年5月28日〜31日 今回の旅行の目的は三つ。 1番目は、宮沢賢治の故郷を訪ねること。 2番目は、三陸海岸の縦断。 3番目は、東北大震災の震災後の姿を目に残すこと。 目的ごとに整理してみる。 以前から三陸海岸に行きたいと思って計画を考えていた。 しかし、ここは、交通の便のあまりよくないところであり、ホテルも主要都市にしかない。 宮古釜石あたりを宿泊拠点として、縦断を考えると日程の都合がよさそうだ。 ただ、前半の、黒埼灯台から浄土ヶ浜(宮古)あたりまではすんなり行程が決まったのだが、 その後は、見どころも少なく移動だけが大変になる気がして、予定がなかなか決められなかった。 ところが、震災の被災地を組み合わせ、石巻での宿泊を考えると、霧が晴れるように、後半の行程が見えてきた。 今のうちに震災と津波の爪痕を見ておけということなのだろうと思い、早速、出かけることにした。 実際には、被災地と観光地がまじりあっているのだが、まずは、名所の方から・・。 |
![]() <<鵜の巣断崖>> |
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<<岩洞湖>> 花巻で一泊した後、盛岡から海岸線に抜けることにした。実際には、岩洞湖、龍泉洞を経て、三陸海岸普代浜に抜ける道である。 もっと山の中の道かとも思ったが、片側一車線で、カーブもそんなにきつくない絶好のドライブコースであった。 岩洞湖は、岩洞ダムによってせき止められたダム湖である。堰堤によって完璧にせき止められている。 ロックフィルダムという形式だそうだ。 |
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レストハウスに立ち寄る。 そこから湖畔まで、白樺の林の中をすすむ。 季節的には最も清々しく、気持ちがよい。 この季節には、新緑の白樺がよく似合う。 |
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<<龍泉洞>> 日本の三大鍾乳洞とは、 秋芳洞(山口県)、 龍河洞(高知県) そして、ここ龍泉洞(岩手県)だという。 鍾乳洞の内部は、やはり寒い。10℃ちょっとしかない。 木製の通路ができており、ところどころ天井が低いところはあるものの、歩きに支障はない。 ただ、高低差が大きく、階段の上り下りで一苦労する。 |
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ここの、一番の見どころはやはり地底湖だろうか。底の方の明かりの揺らめきで水があることがわかるほど。 そんな感じはしないのだが、実際には足元のすぐ下に水面がある。 100m近い水深があるという。 |
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<<普代村付近>> 龍泉洞から山越えの県道を行く。他の車が見当たらない。 道路を占有している感じがする。 岩手県普代村付近で太平洋に突き当たる。ここから三陸海岸の縦断を開始する。 計画時点では、観光地と被災地を分けて考えていたのだが、実際にはここから被災地が始まっていた。 詳しい話は、次のページで・・。。 |
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<<黒埼灯台>> 岬は黒崎、灯台は黒埼。なんともややこしい。 普代浜から鵜の巣断崖直前までは、海岸沿いに県道が走っている。陸中海岸シーサイドラインという。 北海道の道路を思わせるような直線道路が続く。 戻ってから調べたところ、ここは、本州の道路の中でも屈指の直線道路なのだそうだ。 |
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<<黒崎>> 北部陸中海岸(宮古以北)は、隆起海岸(海岸近くにあった平坦な陸地が地殻変動で隆起してできた地形)で、断崖絶壁が続く。 それにもかかわらず、断崖上は平坦な地形である。 黒崎展望台は、黒埼灯台の入り口と同じところから入るのだが、すぐ分かれ道になる。 突き当りの駐車場からすぐ展望台に行くことができる。 快晴。海の色がまさに太平洋を感じさせる。青が深い。群青色とはこのことか。 波打ち際の岩にあたって、真っ白いしぶきに変わる。 断崖上は、新緑に覆われている。原色の組み合わせが絵のようである。 黒埼灯台の上を、北緯40度線が通っているそうで、灯台のそばに記念のモニュメントがある。 |
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<<北山崎>> 一番のおすすめポイントらしく、食堂やお土産屋さんが並んでいる。 観光バスも、ここは逃さないようだ。 車で入れるところから、景観が見えるところまで結構距離があるので、どこでも5〜10分ほど歩く必要がある。 ここには、第一から第三までの展望台があり、第一展望台以外は200段近い階段で、海岸に近いところまで下りられるらしい。 ただ、まだ半日残っており、体力を温存しておきたかったので、第一のみにした。 |
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<<鵜の巣断崖>> 今日の一番の絶景ポイント。思わず息をのみ、しばし、時の流れを忘れる。 ここは、駐車場から10分ほど、林の中を歩く。岩洞湖の白樺林とは打って変わって、赤松の林である。 しかし、足元は少し柔らかめの歩道が整備されており、歩きやすく、疲れにくいようになっている。 |
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ここの展望台も、実は、断崖絶壁の上に立っており、下がえぐれている。 もっとも、横からみないと分からないようにはなっている。直接、下が見えたら恐怖だよね。 |
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<<三王岩>> 奇岩をどう見せるかというのは、観光地にとっては一工夫が要るものだろう。 ちょうど見ごろの場所に、てきとうなスペースがない場合もある。 自然に生えている木も、視界を遮ってしまっては元も子もないし、かといって無残な切り跡を残しておくわけにもいかない。 適度の木々は、景色に対するワンポイントにもなる。 ここは、海側から船で見るという方法もある。展望台も、上(崖上)から、横(海岸)から、と場所が工夫されている。 岩に、適当にかかる松の木も良い近景となっている。でも、誰が撮っても同じ風景になりそうだ。 |
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<<崎山の潮吹き岩>> 潮吹き岩は、潮を吹かないと、ただの岩である。 それも、いつ潮吹くかわからないときは、どれだけ我慢して待ち続けられるかが問題だ。 手前の平らな岩が目指す潮吹き岩であるらしい。「あるらしい」というのは、潮を吹かなかったからである。 崖の上から、200段近い石段を下りて、海岸を見渡せる場所に展望台が作られている。 今日は、風もなく、海も穏やかで、潮を吹かなかったのは、そのせいだったのだろうか。 でも、たまたま一緒だったカップルは、気長に待ち続けていた。早く二人きりにしてやろう。 |
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<<浄土ヶ浜>> 宮古市外に近く、浄土ヶ浜という。半島の突端に、波を防ぐ堤防のように、奇岩の島が張り出している。 さすがに市街に近いだけあって、観光客の数も車の数も、いままでと比べて、けた違いに多い。 海岸に、二つの記念碑がたてられている。 一つは、昭和35年のチリ地震津波の記念碑で 「地震がなくとも潮汐が異常に退いたら津波が来るから早く高い所に避難せよ」 と刻まれている。 ![]() もう一つは、昭和8年の昭和三陸大津波の記念碑「大海嘯記念」で、 ・地震の後には津波が来る ・地震があったら高いところへ集まれ ・津波に追われたら何処でも高いところへ ・遠くに逃げては津波に追いつかれる 近くに逃げ場を用意しておけ ・家を建てるなら津波のこない安全な地帯へ など、五カ条の心得が書かれている。 カモメが異常に多い。餌付けをしているため、ボートを出すと、カモメと併走できる。 海岸でも、我が物顔で、人を恐れることもない。子供が泣き出してだっこされてしまった。 |
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<<釜石大観音>> 宮古市内で一泊。 なかなか駐車場がわからず、というか、どこまで車で行けるのかがわからず、ぐずぐずしていたが、 結局、観音様の直下ま、車で行くことができた。 足元までは、エスカレータがある。観音様の内部は空洞で、展望台になっているが、歩いて登るしかない。約150段。 釜石大観音は、魚籃観音で、魚を持っている。 海に向いているため、陸地から正面を拝むことはできない。 漁業の町にふさわしい観音様である。 手に持っている魚の上部が、展望回廊のようになっていて、最上階から外に出ることができる。 眼下には釜石湾が広がっている。 足元のテラスの先にカメラスポットという看板があったので下りてみたが、木に遮られて海が見えない。 ハッとして後ろを見た、案の定、観音様がきれいに見えた。 なるほど。ちょっとした勘違い。 |
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<<碁石海岸:穴通磯>> 最初の予定では、この日の朝、浄土ヶ浜に行くことになっていたが、 前日の内に回ることができたので、急遽、碁石海岸をコースに加えることにした。 大船渡市末崎半島の先端部分一帯を碁石海岸という。 もともとは、この付近の黒い泥岩でできた丸石が、仙台伊達の殿さまに、 碁石として献上されたことからきているらしい。 今はそれにかかわらず、付近のリアス式海岸特有の風景を含めて碁石海岸と称している。 狭い道をトコトコ進み、突き当りの駐車場へ。そこから林の中を進むといういつものパターン。 展望台も比較的狭い。でも、この風景は、有名な場所だ。 でも、写真を撮る場所がここしかないので、誰が撮っても同じアングルになりそうだ。 風が強くなってきた。波が白くなってきている。それとも、外海に直接向いているからだろうか。 |
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<<碁石海岸:海馬島>> 穴通磯から2キロと少しで碁石海岸のレストハウスに着く。 ここは、穴通磯と比べて、駐車場も整備され、きれいな情報センターができている。 岩場までの遊歩道も、うまくできており、観光地としては申し分ない。 風が強くなってきて、展望台に出ると吹き飛ばされそうになる。 |
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<<碁石海岸:雷岩と乱曝谷>> 左側の大きな岩が雷岩、雷岩と岸の間の狭い水路を乱曝谷という。 風が強いせいか、波が荒い。いつもこうなのだろうか。 ここで、痛恨の電池切れ!ワォ! 今日は、そういえば油断して充電を怠っていた。 ここの写真はこれまで。車に戻って充電しなきゃ。 |
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<<神割崎>> この岩は神が割ったという言い伝えがある。 車で、どこまで近づけるのかわからず、何か所の駐車場に止めてみたが、結局、すぐ上の駐車場に停めることができた。 そこからは、石段で波打ち際まで下り、神割岩を間近に見ることができる。 石段は足元が濡れていて、一番下まで下りることができない。 びしょ濡れになりそうな予感がする。早々に退散。 |
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<<月の浦:支倉常長像>> 石巻から女川に向かう途中、月の浦に寄った。 岬の上の展望台には、支倉常長像がある。 月の浦は、支倉常長の遣欧使節が出帆した港である。 今は普通の、どこにでもありそうな、小さな漁港なのだが・・。 この展望台には、今、震災の仮設住宅が建てられている。どんな小さな集落にも、震災の傷跡が残っている。 現実に引き戻される光景だ。 |
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<<大六天展望所>> 月の浦から女川に向かう途中。 原発への分かれ道などがあり、誰も人が入らないような、風光明媚な山道も終わり近くになって、 ようやく見晴らしのきく展望台に着く。 |