2016年9月1日 7月23日の社寺廻りの続き。会津六詣出と会津コロリ三観音を巡る。 会津地方は豊かな会津盆地を有し、古くから豊かな土地柄であった。 芦名氏伊達氏によって争われ、戦国末期には上杉氏、関ヶ原以降は保科氏〜松平氏となり、幕末に至る。 そんな裕福な土地柄で、古くからの仏閣や神社が残っている。 |
<<圓藏寺:菊光堂(本堂:左)と仁王門(右)>> |
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<<立木観音:観音堂>> コロリ三観音の一つ。金塔山 恵隆寺。 この観音堂には、本尊の十一面千手観音が祀られている。 本尊を拝めるというので、呼び出しのベルを押すと、ほどなく係のおばさんが現れ、 おもむろに鍵を開けて堂内の明かりを灯してくれた。 中に入ってビックリ。このご本尊は、一木造の木造では日本最大級の、像高8.5mもある巨大なものであった。 ちなみに奈良の長谷寺の木造十一面観音は10.2mで、国内最大級と言われている。 さらに、両脇には人間とほぼ同じ大きさの、風神雷神と二十八部衆の像が勢ぞろいしている。 堂内がそんなに広くなく、かつ、御簾の陰になるため、少し見づらいが、一見の価値ある仏像群である。 千十観音と、その眷属の30体がすべて揃っているのは、京都三十三間堂とこのお寺だけと言われている。 売店の人が観音堂の鍵を開けてくれた。 |
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<<立木観音:小金塔>> 観音堂の脇に、大日如来を祭る小金塔がある。三重塔であり、最近(平成12年)に再建されたばかりという。 山号の金塔山というのは、この塔のことからついたものだろうか。 |
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<<中田観音:山門>> コロリ三観音の一つ。普門山 弘安寺。 鳥追観音、立木観音と併せて、コロリ三観音という。 山門の右側に、弁財天が祀られている旧観音堂の厨子が置いてある。 |
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<<中田観音:観音堂>> ここの観音様は、野口英世の母親のおシカさんが深く信仰され、月参りを欠かさなかったという。 が、残念ながら、事前予約が要るということで、参拝はかなわなかった。 それにしても、この観音堂は三観音の中でも一番立派な建物である。 |
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<<法用寺:仁王門>> 雷雲山法用寺。 法用寺は、会津五桜の一つ、虎の尾桜があるお寺であり、また、会津地方唯一の三重塔があるお寺である。 この仁王門にあるはずの仁王像は平安時代の作と言われ、国の重要文化財に指定されている。 現在は、本堂に安置されており、ここには、写真が飾られている。 仁王門を脇から抜けるような感じで駐車場がある。 大きな看板も何もなく、車の進入禁止の立札に法用寺と書いてあるので、目的地と知れた。 |
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<<法用寺:観音堂>> 本尊は十一面観音で、秘仏とされている。 |
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<<法用寺:三重塔>> 美しい三重塔。 第一層は工事中のため、上部のみの構図となる。双輪が日にきらめいてキラキラと輝いている。 |
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<<法用寺:虎の尾桜>> 館音頭の前に、大きな桜の木がある。オオシマザクラ系サトザクラ。 会津五桜の一つに数えられる。 |
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<<龍興寺:延命地蔵>> 伊佐須美神社のそばにこのお寺がある。道樹山 龍興寺。 何の変哲もない普通のお寺なのだが、このお寺には、福島県内に三つしかない国宝のうちの一つがある。 国宝「一字蓮台法華経開結」 |
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<<龍興寺:浮身観音堂>> 徳川家康に仕えた天海僧正は、子供のころに水田で見つけた一寸八分(約5.5cm)の観音像を一心に念じたという。 その後、この像に似せて一尺八寸の木造の観音像を作り、その胎内に納めて浮身観音としたという。 このお堂は立派だが、他は普通のお寺と変わらない。お墓もちゃんとある。 付近の檀家の人びとに支持されているお寺なのだろう。 |
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<<伊佐須美神社:鳥居>> 鬱蒼とした森が広がる。これが神社の森であるとは信じがたい。森に対して抱く久しぶりの感覚だ。 名前からして由緒ありそうな神社であり、鳥居も、次の楼門も社格を感じさせるものである。 古くは、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)、伊弉冉尊(いざなみのみこと)の二神を祭神としていたが、その後、 大毘古命(おおひこのみこと、大彦命)、建沼河別命(たけぬなかわわけのみこと、武渟川別)の二神を加えて、 四神を祀っているという。 |
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<<伊佐須美神社:楼門>> 本殿は、平成20年10月の、二回にわたる火災で全焼した。 楼門は、平成元年の造営であるが、類焼をまぬかれ現在に至っている。 本殿は、二年前から再建工事が始まっている。 |
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<<伊佐須美神社:薄墨桜>> 伊佐須美神社を有名にしている一因がこの桜の木である。 薄墨桜といい、会津五桜の一つである。オオシマザクラ系のサトザクラ。 境内には他にも、樹齢100年以上といわれる藤(飛龍の藤)、や天海僧正お手植えの檜などがある。 社叢は神域として立入禁止の自然林となっている。 |
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<<左下り観音堂>> 会津若松の南、大内宿や塔のへつりへ向かう途中に、左下り観音堂がある。 入口から、車一台がぎりぎり通れる細い道を上って駐車場に着く。多分、途中でのすれ違いはできない。 そこからまた、5分ほど山道を登る。 この地には珍しい懸造りのお堂である。 |
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<<左下り観音堂>> 脇の道を上ると、お堂の最上階−ここに入口がある−に出る。こちら側が正面(東側)、北側には会津盆地が広がる。 老朽化が激しく、舞台上に出るのは禁止されている。また、懸造りの階下部分にも床が敷かれていて、以前は下りることができたようだ。 |
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<<左下り観音堂>> お堂脇の洞穴の中に、石地蔵が並んでいた。 |
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<<円蔵寺:菊光堂>> 只見川の流れに逆らうような岩山の上に、円蔵寺の伽藍が並んでいる。 駐車場から上がっていくと、このお堂が目に入る。本堂の菊光堂という。鳥追観音の観音堂と同じく、入口が右側にずれている。 東西向拝口、三方開きというのだったか。南側は、舞台になっており、眼下を只見川が流れている。 円蔵寺の本尊は、福満虚空蔵菩薩で、日本三大虚空蔵菩薩の一つという。 ※他の二つは、茨城県東海村の大満虚空藏尊、千葉県天津小湊町の能満虚空藏尊とか。 <<円蔵寺:菊光堂欄間>> 現在の菊光堂は、文政年間に、藩主松平家の保護のもと建立され、彩色のされていない白木の造りであるものの、 堂内や欄間は確かな彫刻で彩られている。 |
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<<円蔵寺:菊光堂>> この菊光堂も、左下り観音と同じく懸造りなのだが、こちらはしっかりとしたコンクリート製である。 地図を見ると、只見川がこの円蔵寺の立っている岩山にぶつかって、方向を変えているように見える。 |
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<<円蔵寺:仁王門>> 会津六詣出とは、 コロリ三観音 (鳥追、立木、中田)、 伊佐須美神社、 大山祇神社、そして、この 円蔵寺を加えた六社寺を言う。 いずれも、由緒のある立派な雰囲気を持ったお寺/神社であった。 |